自分の心の声、身体の声を聴いてあげていますか?

私たちは幼少期以来、親や教師から「こうしなさい」「こうしてはいけません」と指示されることに慣れすぎていて、外の世界に答えを求めることが当たり前にはなっていないでしょうか。

事実、何か分からないことがあると私たちは、誰かに聞くか、本を読むか、スマホやタブレット・パソコンなどでその答えを探そうとします。

それは勉強のことであったり。

人付き合いのコツであったり。

恋愛をうまくやる秘訣であったり。

仕事で成果を出す方法であったり。

子育ての知恵や、家族とうまくやっていく方法であったり。

こうして私たちは、正しいやり方・答えというのは、いつも外の世界に存在する、そうした思考を知らず知らずのうちに形成していきます。

そんなことはない、私は自分の頭で考えることの方が多い、という反論が出てくるかもしれません。

確かにその通りかもしれません。

でもその思考はどのように形成されたのでしょうか?

それは、親や教師などの大人や、友人や恋人、会社の上司・同僚など多くの人から、そして本やあらゆる情報空間の中から吸収し、取り入れたものによることが多いのではないでしょうか?

そうした過程において私たちは、ほとんど無自覚・無批判にそれらを取り入れてしまっていることはないでしょうか?

かくいう私もその中の一人かもしれません。

それでも、分からないから外の世界に答えを求めようとするのは当然のことだし、それでいいではないか―そうした意見も聞こえてきそうです。

確かに、それで多くのことが解決するのも事実ですから、それを否定するつもりはありません。

ましてや、それで円滑に毎日の生活が過ごせるなら、なんら問題はないのかもしれません。

問題は、そうでなくなった時です。

外にばかり答えを求めていったことの歪みが、心や身体に異変として表れてしまった時。

取り立てて大きな不満はないはずなのに、なんだかむなしい―

心のどこかに何かひっかかりがある―

言いようのない不安に襲われる―

やらなければいけないと思っているのに、どうもやる気がおきない―

なんだか身体が重い、やろうと思っても身体がいうことをきかない―

ちょっとした不調なら、少しぐらい無理してそれらをやり過ごすことができるかもしれません。

しかし、それらの声を無視し続けたらどうなるでしょうか。

心も身体も悲鳴を上げ続けているというのに、そのまま走り続けたらどうなるでしょうか。

そう、私たちはその臨界点を超えた時に初めて、事の重大性に気がつきます。

そうなってからようやく、心の声、身体の声を無視し続けたことを後悔するのです。

そうならないよう、できるだけ早い段階で私たちは、自分の心や身体の異変に気付き、対処する必要があります。

そのためには、常日頃から自分の心の声、身体の声にもっと耳を傾けてみることです。

立ち止まって、ゆっくりと感じてみることです。

なんかモヤモヤする―

なんだかしっくりこない―

なんだか違和感がある―

そうした微細な心の声、身体の声を無視せずに、自分と深く向き合ってみることです。

もっとも、社会的な場面・家庭内の場面など、私たちは日々外の世界からの要求に応えなければいけないことがたくさんあるのも事実でしょう。

忙しい毎日に追われてしまうのも、無理もないことなのかもしれません。

しかしそれでも、自分の感情や感覚にもっと耳を澄まし、それらに問いかけてほしいのです。


なんのために今、自分は走り続けているのか―

心からワクワク、身体がウズウズしてたまらないことなのか―

それは本当にやりたい事なのか―

それとも、どこか自分に嘘をついているような気がするのか―

何か間違っているのではないか―

本当はやりたくないのではないか―

では、本当はどうしたいのか―

今はただ、何もせずゆっくりと休んでいたいのか―

外の世界にばかり向けていたその目を、もっと内の世界にも向けてほしいのです。

人や社会からの期待や求めに応えようとするばかりでなく、もっと自分の欲求や意志に忠実になることも考えてほしいのです。

周りのことに配慮することと同じように、もっと自分の心や身体にも配慮してほしいのです。

自分の身体の異変にも心の違和感にも鈍感になっていき、そして自分のことなのに、自分で自分のことが分からなくなってしまわないように。


確かに、一般的な問題のほとんどは、外の世界にその答えがあることが多いかもしれません。

しかし、私たち一人一人の個別の問題も同じように、外の世界にその答えがあるのでしょうか?

そんなはずはない、自分の本当の問題や悩みは、自分にしか分かりえない―当然あなたはそう考えるはずです。

それなのに、なぜか自分の問題の答えも同じように、外の世界に求めてしまっていることはないでしょうか。

外の世界に答えを求め続けてばかりいるうちに、いつのまにか自分の心に、自分の身体に聴くことを、すっかり忘れてしまってはいないでしょうか。

私たち一人一人の人生の問題は、自分自身で答えを出していくしかないというのに。

そうしているうちに、もしあなたが自分の声が分からなくなってしまっているのだとしたら。

心の声からのサイン、身体の声からのシグナルを、掴むことが難しくなっているのだとしたら。

自分一人ではもう、自分の答えを出すのが難しいと感じているのだとしたら。

どうか、もう一人で抱え込み続けないで下さい。

もっと人に頼り、助けを求めて下さい。

他の誰でもない、自分の心を、自分の身体を守るために。

一度だけの人生、後悔なく、幸せに生きていくために。